BLUE SIX OPEN 特集
10年前と比べると、時代は大きく変わった。 企業は収益を上げるだけではなく、社会にとって意味のあることをすることも求められるようになった。 それは、きれいごとではなく、これからの会社には必要な姿勢なのだと思う。
僕らも、教育、飲食、動物、クラフト、アートなど、いろいろなジャンルで事業を行ってきた。 その中で、自分たちはどんな形で社会に貢献できるのかを、ずっと考えてきた。 どこかの良い機関に寄付をすることも、もちろん一つの方法だと思う。 でも、僕ららしい取り組みは、それだけではない気がしていた。 自分たちでチームを作り、選手を育てる。 そして、日本の若い選手たちが世界に挑戦していくための大会を、自分たちで作る。 それが、BLUE SIX OPENという大会を始めた理由の一つだ。
BLUE SIX OPENは、今年で3年目を迎える。 この大会は、日本から世界へ挑戦する選手を一人でも多く輩出すること。 そして、僕らが運営しているBLUE SIX TRAINING CLUB、通称B6TCの強化の一環として開催している。
B6TCは、世界で活躍するプロテニスプレーヤーを育成するためのチームだ。 現在は8名の選手が在籍していて、また新たに有望な選手たちからも、チーム参加の希望が届いている。 大きなチームを目指しているわけではない。 むしろ、家族のように一体となり、それぞれの個性がちゃんと育っていく、強いチームを作りたいと思っている。
今年のBLUE SIX OPENには、B6TCから高校1年生から23歳までの4名が出場した。 彼らは、この大会でプロたちに挑戦している。
テニス選手を育てるには、とても時間がかかる。 ジュニアのトップ選手であっても、プロの中で本当に戦えるようになるには、高校を卒業してから4年はかかると見ている。 高校1年生から考えれば、7年間だ。
つまり、すぐに結果が出るものではない。 ジュニア後半期から、プロの前半期へ。 この時期をどう移行していくか。 ここが、プロとして活動していくための大きな鍵になる。
ただ練習量を増やせばいいわけではない。 試合に出ればいいわけでもない。
海外に行けば、それだけで強くなるわけでもない。 将来を見据えた一貫した指導方法の中で、選手、コーチ、トレーナー、マネジメントが一体となり、選手を次のステージへ成長軌道に乗せていく。 それが、B6TCの目指していることだ。
今年の大会では、その成長を見ることができた。 B6TCで学び、現在はアメリカの大学で武者修行している若手選手が、ダブルスの日本代表選手に対して善戦した。 あと一歩のところまで、相手を苦しめた。 ジュニア時代には、プロ選手にはまったく歯が立たなかった。 でも、環境を変え、自分なりに積み上げてきたものが、少しずつ形になり始めていた。
また、今年からプロになった若手選手は、全日本優勝の経験もあるベテラン選手に対して、セットポイントを握った。 最後は逆転負けを喫したが、2年前の大会では勝負にならなかったことを考えると、確実に成長している。
もちろん、勝たなければ意味がない世界だ。 惜しかった、だけでは先へ進めない。 でも、育成の現場では、その「あと一歩」がとても大きい。 届かなかった距離が、少しずつ縮まっている。 そのことを、同じ場所で見られる意味は大きい。
テニス選手は普段、世界中を回りながらポイントを重ね、ランキングを上げていく。 だから、僕らがすべての試合を追いかけて見ることは、なかなか難しい。 3週間から1か月の海外遠征が終わると、選手たちはB6TCに戻ってくる。 そこでリフレッシュし、課題に取り組み、体を作る。 そしてまた、次の遠征に出ていく。 その繰り返しだ。
そういう意味でも、1年に1度、選手全員が同じ大会に出場し、2週間、強化合宿のように2大会をチーム全体で戦えることは、とても大きい。 コーチ側にとっても、選手側にとっても、大きな収穫がある。
後輩は、先輩の本気の姿を見る。 同じ大会で、同じ空気を吸う。 寝食を共にしながら、試合前の緊張や、負けた後の悔しさや、勝った時の空気を近くで感じる。
そうやって、選手は成長していく。 これは、日本にはまだあまりない、新しい選手育成の形なのだと思う。 今年は、Wilson、Coleman、Yogiboをはじめ、30社を超える企業が大会の趣旨に賛同してくれた。 さまざまな形でサポートしてもらっている。 正直、ここまで多くの企業が応援してくれるとは思っていなかった。 でも、それはこの大会が、ただのテニス大会ではないと感じてもらえているからなのかもしれない。
若い選手たちが、世界に出ていくための場所。 チームが成長するための場所。 企業が、未来に対して意思を持って関わる場所。
BLUE SIX OPENは、少しずつそういう大会になってきている。 まだ3年目だ。 完成しているわけではない。 足りないことも、課題もたくさんある。 でも、コートの上で若い選手たちがプロに向かっていく姿を見ると、この大会を続けていく意味はあるのだと思う。
選手を育てるには、時間がかかる。 結果が出るまでには、もっと時間がかかる。 それでも、誰かがその時間を信じて、場所を作り続けなければ、次の選手は生まれてこない。 BLUE SIX OPENは、そのための場所でありたい。