アマゾン フォレスト #3 総集編
今回アマゾンに来た理由は、 「アマゾンは本当に壊れているのか?」 それを、自分の目で確かめるためだ。
森林伐採や環境破壊、温暖化の影響なのか、ジャングルはかつてより15〜20%減少したと言われている。 専門家の中には、25%以上減少すれば自然の生態系が崩れ始めると警告する人たちもいる。
ニュースや数字では何度も聞いてきたが、酸素を作り出し、水を循環させ、世界の肺と言われているアマゾンが、本当はどうなっているのかを、アマゾンで10日間の水上生活をしながら、現地で確かめている。
この川は、広いところでは川幅22km、水深100m以上ある。 それだけでも、もう普通の川という感じではない。 アマゾン川流域には、淡水魚だけで少なくとも約2,000〜2,400種以上が知られていて、爬虫類も熱帯雨林全体で数百種にのぼると言われている。 しかも、正確な数字はまだ存在せず、未発見の生物もいるらしい。
つまり、ジャングルはまだ進化の途中にあるのです。
アマゾンの朝は早く、4時半に起きて、日の出前の5時には小型ボートに乗り換えてジャングルへ向かう。
動物たちが動き出す時間だからだ。 鳥や動物を探しながら写真を撮り、その合間に、現地の人たちから植物や環境、歴史の話を聞く。 そうやって、一つずつこの場所を知っていく。
ジャングルの中で、原住民族ヤノマミの話も聞かせてもらった。
「ヤノマミは森で生まれ、森を食べ、森に食べられる」
そんな表現があるらしい。
森は、彼らにとって単なる資源ではない。 生まれ、暮らし、死んで、また還っていく循環そのものなのだと思う。
ヤノマミ族は、生活に必要なほとんどすべてを森から得ている。 森を「薬箱」と呼び、薬草やキノコ、動物の部位まで治療や儀式に使うこともあるという話だった。 またまた、僕は何も知らないのだなと思わされる。
知識もライフスキルも、ずいぶん心もとない。 ジャングルに入ると、そのことがよく分かる。
船に戻るのは10時頃。 すっかり陽が高くなっているので、気温が上がり、動物も魚たちも動かなくなり、ジャングルは静かになる。
気温は33度。 風が吹かない船の上は暑くて、川に飛び込むしかない。 最初は恐る恐る泳いでいたが、4〜5日もすると少しずつ慣れてきた。 人間、案外慣れるものだ。
その中で、ひとつだけ大事なルールを教わった。 ピラニアがいるので、もしどこかを出血したら、とにかくすぐボートに上がること。 周りの人も何も考えず、一緒にダッシュで上がる。 それだけだった。
ずいぶん緩いルールにも聞こえる。 でも、ジャングルの中ではそのくらいシンプルな方が、むしろ正しいのかもしれない。
毎回南米に来ると思うのは、時間の流れがまったく違うことだ。 昼間は暑すぎて何もできない。 電波もないから、スマホは置きっぱなしになる。 見えるのは、変わらぬアマゾン川の景色と、いつものメンバーの顔だけ。
今回はその時間の中で、中学生の娘に頼まれて書きかけていた本を、じっくり考えながら進めることができた。 彼女にどうしたら伝わるのか。 それをちゃんと考えながら書けたのは、自分にとっても大きかった気がする。 こんな時間が取れるのも、ジャングルのおかげなのだと思う。
アマゾンには、推定4万種以上の植物が生息している。 その多様性が、病気に強く、環境変化にも適応できる森をつくっている。
そして、ジャングルは競争しない。 誰かだけが成功したり、勝とうとしたりすることで成り立っているわけではない。 植物がいて、昆虫がいて、鳥がいる。 一種類の植物が病気になっても、数万種がそれを支える。 多様な生き物が支え合うことで、この巨大な森は生き続けている。
これから先、まだ発見されていない植物や生物が見つかるかもしれない。 そこから、今は不治の病とされているものを治す薬が生まれる可能性もあるのだろう。
ジャングルの中にいると、 強さとは、競争ではなく、多様性なのかもしれないと感じる。 だから人は、この森を残そうとしているのかもしれない。
そして、夕陽の中で泳いだ時間。 あれは、一生の宝物だ。