アマゾンフォレストへ
今回のチームは、僕を含めて4人。 もう1人のカメラマンと、ドローンパイロット、音声さん。 最小の精鋭チームで、アマゾンの大自然、動物、昆虫、植物を撮りに行く。
ここで撮るものは、最終的に写真集、本、写真展、そして30分弱の映像になる。 もうすぐ公開されるUNCOLOREDのサイトにも載せる予定だ。
レンズは14mmから400mmまで8本。 カメラ本体は1人2台ずつ、合計4台。 ドローンは3台。 僕は主に、35mm〜50mm、70〜200mmを担当する。 カメラマンには、それぞれ得意な距離がある。 同じ景色を見ていても、どの距離で切り取るかで、まったく違うものになる。 今回の舞台は、ブラジル・マナウスから奥地へ向かう水上の旅だ。
アマゾンは「世界の肺」と呼ばれ、9カ国にまたがる広大なジャングルには、数千種類の植物や昆虫、動物たちが自然のエコシステムを作り出している。
この環境は、森という不思議な構造でできている。 その中では決して彼らは戦わない。
多様性で被害を分散し、再生力で時間を味方につける。 外敵を排除するのではなく、循環の中に取り込み、何かが壊れても全体は倒れない仕組みを、作っている。
ロンドンで6時間のトランジットを終え、サンパウロへ。 さらに移動を重ね、日本から約40時間の長旅を経て、ようやくマナウスに着いた。 そして、その足でINPAに向かった。
INPAは、ブラジル国立アマゾン研究所。 アマゾンの自然、生態系、先住民の暮らしまでを長年研究してきた中核的な研究機関だ。 昔は研究者だけの閉じた世界だったが、今は年間十数万人規模の人が訪れる開かれた場所になっている。
そこで、ロバート博士にアマゾンフォレストの環境について話を聞いた。 面白かったのは、研究者の中だけで閉じていた知識を、外に開いたことだ。
バイオテクノロジーを使った植物の安定的な育て方、絶滅危惧種の保護や繁殖、気候変動のリサーチ、そしてネイティブコミュニティの保護と発展。 それ自体は、普通に考えれば良いことだ。 でも現実は、そんなに単純ではないらしい。
研究成果を、ネイティブの人たちを守るために共有する。 すると、自然を守る知恵がつくだけではなく、どこに価値があるのか、どこに資源があるのか、何がビジネスになるのか、そういうことも分かってしまう。 結果として、森の伐採や農地化、鉱物採掘のきっかけにもなっているという。
これはかなり現代的な話だと思った。
知識を広げれば、世界は良くなる。 教育すれば、みんな地球を守る側に回る。 そういう単純な話ではない。 価値を伝えると、別の欲望も動き出し、新たな問題を生むこともある。
その副作用を、研究の最前線で見ている人の話を聞けたのは大きかった。 ジャングルに入る前に、いま起こっている大きなイシューを押さえておくことは、やはり大切だと思う。
そして、楽しみにしているのは動物たちだ。 川辺で撮れそうなのは、ピンクイルカ、マナティ、カピバラ、カワウソ、ピラニア、ピラルクー、カメ、カイマン、ワニ、ナマケモノ。 見られたらかなり嬉しいのは、アナコンダ。 そして、ピンクイルカは、今回の旅で一緒に泳ぎたいと願っている。
夜のジャングルはまた別の顔になる。 ボートのライトに浮かぶカイマンの赤い目。 音だけで存在を知らせてくる闇。 写真としてはかなり難しい時間帯だろう。 それでも、ボートに戻れば、灯りに集まるガやカブトムシ、大きなクモたちが、もうひとつのアマゾンを見せてくれるはずだ。
僕の中では、昆虫もキノコも主役だ。 翅の模様や質感、脚の細さや光り方。 森の縁で一瞬だけ青く光るモルフォチョウ。 あの青をちゃんと撮れるかどうかは、運と技術と、少しの執念次第だと思う。
一次情報を集める旅、スタートです!