「自分の身体を知る。」

先週のHealth Documentaryでは、「コートを離れた時間の使い方」について書いた。コートの上だけでは、強い身体はつくられない。世界を転戦する選手には、自分で時間を使い、自分で身体を整える力が必要になる。

大会が終わり、一週間が過ぎた。選手たちは、それぞれ違う身体の反応を見せ始めた。翌日には元気にコートへ戻る選手もいれば、回復に時間がかかる選手もいる。同じ環境で、同じ2週間を過ごしていても、身体の反応は決して同じではない。

選手を見ていて、改めて感じたことがある。人は、自分の疲労を思っているほど正確には分かっていない。身体は疲れていても動けてしまう日がある。逆に、少し身体が重いだけで不安になる日もある。だから「疲れた」という感覚だけでは、自分の身体は分からない。

睡眠はどうだったのか。食事は足りていたのか。暑さの影響は残っていないのか。身体の動きや表情も合わせて見ていくと、自分では気付いていなかった身体の状態が少しずつ見えてくる。

そこでトレーナーは、身体が出している小さなサインを選手と一緒に確認していく。今日はケアを優先した方がいいのか。それとも、もう少し負荷をかけられる状態なのか。休ませることだけが正解でもない。追い込むことだけが正解でもない。その日の身体に合った判断を積み重ねながら、選手自身も少しずつ身体の変化を理解できるようになっていく。

プロは、自分の身体をよく知っている。

それは、少しの変化に神経質になることではない。身体が本当に出しているサインを見極め、今日は攻める日なのか、整える日なのかを判断できるということだ。

一年の大半を海外遠征で過ごすプロ選手は、コーチやトレーナーがいつも隣にいるわけではない。だから海外へ出れば、自分の身体を理解し、自分で判断し、自分で整えていかなければならない。

今回の2週間は、そのための時間でもあった。テニスの技術だけではなく、自分の身体と向き合い、その変化を知り、自分で判断する。その積み重ねが、海外でも戦い続けられる選手を育てていくのだと思う。

自分の身体を知ること。 それは、自分を守るためではない。最高のパフォーマンスを出し続けるために、プロが身につける技術なのだと思う。

サーフィンのイラスト
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