補給とは、先回りすること

6月のテーマは「補給」。 前回は、暑い日の試合で、選手にアミノ酸を入れた話を書いた。 お腹を満たすためではなく、次のプレーを支えるための補給。今回は、その続きです。

先日、選手たちに聞いてみた。 「試合中って、お腹空く?」 返ってきた答えは、 「あんまり空かないです」 だった。 たしかにそうだと思う。

試合中は、相手のことを考えている。 ポイントの流れを読んでいる。 暑さとも戦っている。 食欲どころではない。 しかし、その間にも、身体の中ではエネルギーが失われていく。

走る。 止まる。 切り返す。 打つ。

そのたびにエネルギーを使い、汗をかけば水分もミネラルも抜けていく。 それでも、空腹はあまり感じない。 ここが面白い。

身体は消耗しているのに、本人はまだそれを強く感じていない。 実際には、 お腹が空いたかどうかより、 このあとどれくらい動くのか が重要になる。

テニスは、試合時間が読めない。 1時間で終わることもあれば、3時間を超えることもある。 しかも夏は、そこに暑さが加わる。 だから選手たちは、 お腹が空いたから食べるのではなく、 足りなくなる前に入れる。

これは、テニスだけの話ではない。 喉が渇いた時。 疲れを感じた時。 その時には、すでに少し遅れているサインである。

人は、自分の身体の中で起こっている変化に気づくのは、とても難しい。

だから選手たちは、 自分の感覚だけに頼るのではなく、 日々の練習や試合を通して、身体の変化に少しずつ敏感になり、サインを見逃さないように伝えている。

補給とは、足りなくなったものを戻す作業ではなく、 このあと失われるものを見越して、先に入れておく意識を持つことだ。

試合でも、仕事でも、海外遠征でも、 動ける身体を作っていこう。

サーフィンのイラスト
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