補給は、回復の設計だ
6月のテーマは「補給」。 先日、とても暑い日の試合があった。 気温は30度近く。 テニスコートには日陰がほとんどなく、コート上はかなり過酷な環境になる。 選手たちは、試合前に練習をする。 つまり、試合が始まる前から、身体はもう使われている。
選手たちはゼリーやバナナを持っていたが、その日にトレーナーが渡したのはアミノ酸だった。 選手の動きを見ながら、補給するものを決めていた。
練習をすると、筋肉はエネルギーを使う。 暑さがあれば、水分やミネラルも失う。 さらに、身体は動き続ける中で、少しずつ筋肉を削りながら耐えている。 その状態で、次に試合が来る。 だから補給は、 お腹を満たすためではなく、 次のプレーを支える準備になる。
糖質を入れるなら、エネルギーを戻すため。 水分を入れるなら、脱水を防ぐため。 アミノ酸を入れるなら、動き続ける筋肉の材料を先に入れておくため。 ここが面白い。
補給というと、 暑いから飲む。 お腹が空く前に食べる。 そう言う話になりがちだ。 でも実際にトレーナーは、 いま身体の中で何が起きているのか。 このあと何が始まるのか。 そこを見て、何を入れるかを決めている。
試合の後も同じだ。 終わった瞬間の身体は、 減って、壊れて、乾いている。 エネルギーは減っている。 筋肉には細かい損傷がある。 汗で水分もミネラルも抜けている。 その時に、何も入れずに休むのか。 必要なものを入れてから休むのか。 同じ睡眠でも、その差は大きい。
休めば戻る。 たしかにそうだ。 でも、材料が足りないまま休むのと、 材料が入った状態で休むのとでは、 身体の戻り方は変わってくる。 補給は、食事の話でも、知識の話でもない。 身体の中で起きていることに対して、何を返すかという判断なのだと思う。
その日の練習。 その日の暑さ。 その日の疲労。 その日のプレーの質。 全部を見た上で、 今日は何を入れるべきかを決める。 補給もまた、 コンディショニングそのものなのだ。