Festival Photo Martagny

今年の夏、フランス・ノルマンディーで開かれる Festival Photo Martagny に、「LION NIGHT」が選出され、展示されることになった。

Martagny(マルタニー)は、パリから車で1時間半ほどの場所にある。 会場となるのは、村の中心を含む約5ヘクタールのエリア。 このフェスの面白さは、村全体を写真の場に変えてしまう力にある。

道、庭、石造りの家の壁、納屋、小径。 そこに180〜200点もの大判プリントが現れ、ギャラリーではなく、光や風や雨の中で写真が立ち上がる。

このフェスは、2018年に写真家 Laurent Lucas(ローラン・リュカ) が立ち上げ、今年で9回目。 主催は Visions d’Ailleurs(ヴィジオン・ダイユール)という非営利団体。フェスは地域や文化機関の支援を受けながら成長してきた。 数年で来場者は年間8,000人を超え、今ではノルマンディーを代表する現代写真イベントの一つになっている。

しかも、このフェスは公募展ではない。 毎年、ディレクターやキュレーターが世界中の写真家をリサーチし、その年、この場所で見せたい視点で作家を選ぶ。 2026年は、わずか11の展示。 世界中から、その11本に絞られているということだ。

そこには、写真界を代表する Jean Gaumy(ジャン・ゴーミー)、David Těšínský(ダヴィド・チェシーンスキー)、Francesca Piqueras(フランチェスカ・ピケラス) たちの名前が並び、その中に自分の名前も入った。

これはやはり嬉しい!

僕がこのフェスをすごいと思うのは、

“本気の写真” と “普通の生活” が同じ場所で成立していることだ。 訪れるのは、写真の専門家やコレクターだけではない。 地元の家族、犬の散歩をする人、たまたま通りかかった観光客もいる。 写真が、写真の外側にいる人たちとも自然にすれ違う。

そこに、このフェスの豊かさがある。

今回の話がつながった背景には、昨年のルーヴル美術館内での写真展がある。 その展示を手伝ってくれた友人の写真家が Martagny のキュレーターに伝えてくれた。 そこからキュレーターがルーヴルを見に来て、話が進んだ。

ここが、僕にはとても嬉しい。 ある場所で作品を見た誰かが、別の文脈、別の場所へとつないでくれる。 その流れの中で、ルーヴルと Martagny の両方にライオンたちが立つことになった。 そのこと自体が、今回いちばん意味のあることかもしれない。

アマゾンでのロケが始まる頃、遠く離れたフランスでは、夜のライオンたちがノルマンディーの空気の中に立っている。 ジャングルの湿った熱気と、フランスのひんやりした夜風。

まったく違う二つの場所だけれど、今年の夏はその二つが同時に進んでいく。

面白い時間になりそうだ。

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