地球最大の生命圏へ、向かう前に
来月、ブラジル・アマゾンへ向かう。 6月10日から2週間、マナウスから奥地へ入る予定だ。 実は、アマゾン自体は初めてではない。 カカオを採るために、これまで何度も足を運んできた。 クラフトチョコレートの原料を探す中で、カカオを探しに、南米の奥地を歩く機会は少なくなかった。
ただ、これまではあくまで 「カカオを採りに行く旅」 だった。
セバスチャン・サルガドという写真家がいる。 2021年に発表した『Amazônia』という写真集と巡回展で、地球最大の熱帯雨林と先住民の暮らしを、世界に伝え続けた人物だ。 展覧会は世界各地で開催され、累計100万人以上が訪れたという。 写真家が、地球の声を世界に届けた稀有な事例だと思う。
カカオを採りに何度も通ったあの場所を、 今度は写真家としてしっかり記録したい。 そのきっかけのひとつが、彼の仕事だった。
アマゾン熱帯雨林の面積は600万平方キロメートル。 ボリビア、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ペルー、フランス領ギアナ、ガイアナ、スリナム、ブラジルの9カ国にまたがり、その規模はほぼアメリカ合衆国に匹敵する。
1ヘクタールに200種の樹木。 1本の木の上に72種のアリが確認されたこともある。 川には1,400種の魚、哺乳類300種、鳥類1,300種。 地球の淡水の5分の1がここにいる。 そこに住む人は、ブラジル人口の3%ほど。 それでも、未踏の領域がまだ広大に残っている。
森林伐採。 火災。 先住民の生活圏の縮小。 COP30が2025年にブラジル・ベレンで開催され、世界の関心がアマゾンに集まった。 「今、撮らないと撮れなくなる」 そんな予感がする。
樹高80mの巨木アンジェリン・ヴェルメーリャ。 樹齢2,000年級のサマウマ(カポックの木)。 ジャガー、ピラルク、3本指ナマケモノ、ジャカレ・アスー(巨大カイマン)。
ジャラキ族、カンベバ族、トゥカノ族の暮らし。 それらが今、どう存在しているのか。 変わってしまう前に、自分の目で見て、カメラで残したい。
伝統的なアマゾン船 HARRIET II をフルチャーターし、リオ・ネグロからジャウー国立公園、いくつかの共同体を通って、先住民の長(シャーマン)の案内でテラ・フィルメの森を歩く。 マナウスの MUSA(アマゾナス自然史科学博物館)では、館長フィリッポ・モンスター氏へのインタビューも予定している。
この2週間は、 おそらくこれまでで最も濃いネイチャーフォト取材になるだろう。 今回の旅で出会う景色、人、動物。 その記録は、6月以降、何度かに分けてこのコラムで届けていく予定だ。
地球最大のジャングルが、今どうなっているのか。 しっかり見てくる。 そしてもちろん、ワクワクしている。
