体温の話、ではない話

今月から、BLUE SIX TRAINING CLUB(B6TC)のプロや若手アスリートが、 どんなトレーニングをして、 どうコンディションを整え、 世界に向かっていくのか。 現場のリアルをできるだけそのまま書いていきます。

5月のテーマは「体温」。

「体温を測る」と聞くと、 まず思い浮かぶのは風邪のときの話だ。 でも、アスリートにとっての体温は少し意味が違う。

平熱より高ければ、炎症や疲労、 感染のサインかもしれない。 低すぎれば、回復不足や自律神経の乱れも 考えられる。 だから、プロの現場で体温チェックは 当たり前になっている。 ここまでは、その通りだと思う。

ただ、4月にこんなことがあった。

B6TCに新しく参加してくれた、 待望の専属 小林トレーナーが、 毎朝、選手全員の体温や体調を測りたいと 提案してくれた。 データドリブンで、丁寧で、いい提案だった。

それでも少し立ち止まって、こう返した。

「まず一人ひとりの状況を把握してから、 コンディショニングプランを作ろう」

なぜ引っかかったのか。 今振り返ると、タイミングの問題だったのだと思う。

4月は、新しいチームが立ち上がったばかりだった。 選手もトレーナーも、まだ環境に慣れていく途中。 そのスタートで「毎朝、全員、必ず測る」が 先に来ると、計測は“やれと言われたからやること” から始まってしまう。

体温を測ることは、本来、選手が自分の身体に 興味を持つためのものだ。

続けるうちに、 「今日はいつもより高い」 「最近、朝が低い日が続いている」 と、自分で気づけるようになる。

気づける選手は、自分でコンディションを 整え始める。

自分の身体に興味を持つこと。 変わっていくのが楽しくなること。 その先に、パフォーマンスがついてくる。

こちらが求めているのは、そこだ。

最初に「義務」として渡してしまうと、 この関係が逆になる。 選手は、ただ測られる側になる。 それは、したくない。

同じことを、練習前のアップでも感じている。

アップは、とても大切だ。 でも、全員で揃えてやることには反対した。

うまく説明できないけれど、自分のアップは、 自分でやれるようになってほしい。 コートで一人ひとりが、その日の自分に必要な アップを、自分で探してやっている姿は、 とても格好いい。 全員で揃えてやると、なんか違う。

ここが、プロと部活の違いだと感じている。

ただ、矛盾するようなことも書いておきたい。

自主性が大切だと言いながら、 無理やり走らせることも、 めちゃくちゃ大切だと思っている。

自分で「もう無理」と思った先にしか、 本当の伸びはない。 そこは外から押さないと、絶対に行けない。

強制は嫌いだ。 でも、放任とも違う。

選手の主体性を育てながら、必要なときに押す。 押したあとに、また自主性に戻す。

この行ったり来たりを、どう設計するか。 これがコンディショニングの本当の難しさで、 そのままチーム作りの話になっていく。 そして、それがチームの色になり、 チームの文化を作る。

体温は大切だ。 でも、体温だけでは見えない。

誰のためにやっているのか。 その前提が違えば、同じ計測でも意味は変わる。

5月はここから、体温の話をもう少し続けていきます。

サーフィンのイラスト
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