環境設計
今回は、「成長」について書いてみたいと思います。
会社でも学校でもスポーツでも、最初はできなかったことが段々とできるようになり、少しずつ自分で考え、判断し、行動するようになっていく。そんな人の成長する姿を見るのは気持ちがよい。
しかし、現実はそう簡単にはいかない。人はサボりやすい生き物だ。親同士で話していても、「子供がどれだけ勉強しないか、言うことを聞かないか」、なんて話はよく出てくる。
だからといって、ずっと横について「やりなさい」と言い続けても、それは成長とは少し違う。
人が育つには、「環境設計」が大切だと思っている。
目標を設定し、そこへ向かう環境を整える。必要な時には話をして、少しズレていれば軌道修正する。でも、そこへ辿り着く方法まで全部決めるわけではない。
ある程度までは、教えることで人は成長できる。しかしその先へ行くには、本人が自分で考え、試し、判断していく時間が必要になる。
難しいのは、育てる側の距離感だ。
見守っているとどうしても口を出したくなる。失敗しそうなら先に教えたくなるし、困っていれば助けたくなる。
でも、心配して先回りし、小さな成功を手にしたとしても、安心するのはこちら側であり、本人が成長したとは限らない。口を出したくても少し待ち、失敗しそうでもすぐには手を出さない。必要になった時に応える。
コントロールするのは相手ではなく、自分だ。
親、先生、上司という立場にいると、相手に何かをさせることは可能だ。でも、言われてやることと、自分で考えて行動できることは違う。
もちろん、コントロールしないことと、何もしないことも違う。
目標は共有するし、必要ならミーティングもする。進んでいる方向が違えば軌道修正もする。そのためには、上の人が正しく判断できる材料が日常的に共有されている必要がある。進行状況や変化、困っていることを伝えておくことは、スタッフ(育つ側)の役割でもある。
では、その育て方や環境が正しいかどうかを、どう判断すればいいのか?
僕は、本人が楽しんでいるかどうかを見る。
楽しい授業をする先生のクラスでは、その科目を好きになる学生が増え、結果としてクラス全体の成績が良くなる、ということはよくある。
その先生は、学生の勉強をコントロールしているわけではない。その科目を好きになるきっかけを作っている。好きになれば、自分から勉強するようになり、結果として伸びていく。
人が成長する環境は、誰にとっても同じというわけではない。
同じことを、同じだけやっても、伸びる人と伸びない人がいる。
無理やり勉強させれば、ある程度の成績は取れるが、その先はない。かといって、放っておいても成績は伸びない。
ある程度の時間は必要だが、育てたい人がなかなか伸びていないのであれば、今の環境ややり方がその人に合っているのかを考えて直す必要がある。部署や上司を変えてみるのも一つの方法だし、その人をよく知る第三者に、本人が今、楽しんでいるように見えるか、率直な意見を聞いてみるのもいい。
人を変えようとするのではなく、環境を設計する。
